年金の全期前納と一時払いの違い

全期前納と一時払い
全期前納や一時払いといった保険料の支払いはどちらも前もって保険料を支払うという方法です。そのため、月払いや年払いなどよりも保険料が大幅に割引されます。
保険料は「月払い<半年払い<年払い<全期前納<一時払い」という順で安くなっていきます。このページではこの中でも全期前納と一時払いという似ている二つの保険料の支払い方式についてより詳しく説明したいと思います。
年金のモデルケース
以下のような年金保険(私的年金)をベースに違いを説明していきたいと思います。なお、割引率や受給金額などは適当です。
現在40歳。月1万円の年金に加入したとして、20年後に満期を迎える年金があるとします。
保険は「定期年金」で満期(60歳)から10年間、毎年30万円が支払われる保険だとします。
全期前納とは?
全期間分の保険料を一度に預けて、その中から毎年の保険分を支払っていく方法です。
上記の保険であれば20年分は240万円ですが、全期前納の割引を受けて200万円になります。
その上で、実際の保険料として充当されるのは1年分ずつ。残りの分はプールされている状態となります。上記の例では200万円のうち、1年ごとに10万円ずつを保険料として充当し、残りの部分は、別勘定でプールされている状態です。
実際に保険料が支払われるのは1年ごとになります。
そのため、毎年生命保険料控除(年金控除)を利用することができます(年10万円)。また、被保険者が死亡した場合や途中で解約した場合でもプール分(保険期間未経過分)は戻ってきます。
たとえば、上記の保険に40歳の時に加入して、不幸にも45歳で死亡したとします。
その場合、払った保険料のうち、使用したのは5年分(10×5年=50万円)となります。そのため、200万円から50万円を引いた、プール分(未経過分)はそのまま戻ってきます。
一時払いとは?
一方の一時払いというのはすべての保険料を一度に支払ってしまうという方法です。
上記の保険であれば20年分240万円ですが、一時払いの割引を受けて150万円になります。
かなり大きな割引を受けることができます。これが一時払いのメリットです。
一方で全期前納と比較した場合のデメリットは以下の通りです。
まず、生命保険料控除は支払った最初の年にしか受けられません。支払い保険料は150万円ですが、生命保険料控除には制限があるので、全部は使えません。
また、最大のデメリットとなりうるのが、すでにすべての保険料支払っているということです。
途中で死亡した場合には、戻ってきません。
どちらの方法がいいの?
割引率だけを見ると一時払いはおp得ですが、保険に加入して、被保険者が死亡した場合のリスクが大きくなります。どちらも一長一短がありますので、加入する年金保険の特徴や特約などの条件に合わせて決めることをお勧めします。
ちなみに、一時払いの場合、全部がパーになるというわけではありません。年金保険の場合、払い込み済みの件料は運用原資として残っています。この部分は解約返戻金として戻ってきます。
ただし、保険内容などによっては元本割れとなる可能性はあります。