公的年金(国民年金・厚生年金)のメリット
公的年金(国民年金、厚生年金)などは「払わされている」というイメージが強いかもしれません。しかしながら、年金というものは私たちの老後はもちろん、万が一のことがあった時のセーフティーネットとしても役立つものです。
また、支払っている年金についても「社会保険料控除」という形で所得税などの税金を小さくする節税効果もあります。収入が多い人はあえて年金を多く掛けることで節税につなげることも可能です。ここでは公的年金のメリット・長所をまとめていきます。
保険料は所得控除可能で節税対策になる
まず、国民年金や厚生年金などの保険料は「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」という形で所得税などの税金を計算するときに「控除」されます。
年金保険料として支払った分は税金の支払いが小さくなります。ちなみに、自分で国民年金を払っている場合は「確定申告」をすることで払いすぎた税金が還付されます。
この控除は公的年金の方がいわゆる民間生保による「個人年金保険」と比べて充実しています。 たとえば、どちらも任意である「個人型確定拠出年金」と「個人年金保険」との節税効果を比較した場合、どちらも月2万円の掛け金の年金保険料を払った時
個人型確定拠出年金:24万円の所得控除
個人年金保険:4万円の所得控除
とかなりの開きが出ることになります。こうした節税効果については年金として老後に備える上でとてもメリットがあることだと思います。仮に所得に対する税率が20%だと仮定した場合、公的年金と私的年金とでは20年間で96万円と16万円の節税効果が生まれます。その差は80万円にも上ります。
国民年金・厚生年金はインフレリスク対策
国民年金・厚生年金は物価スライド方式といって受け取ることができる年金額が物価(インフレ率)によって変動します。そのため、将来インフレが進行して預金等の価値が低下した場合でもそのリスクを国民年金や厚生年金といった年金が一定の範囲でリスクをカバーしてくれることになります。
参考:公的年金の受給額の変動(物価スライドとマクロ経済スライド)
インフレになると、事実上の資産価値が低下することになります。特に年金以外の収入元を持たない高齢者はインフレに対して弱いです。インフレに強い公的年金制度はこうした高齢者を守る砦となるわけです。
(インフレリスクに関しては「インフレリスクとは?」などを参照してください)
国民年金・厚生年金は終身年金タイプ
国民年金・厚生年金は「終身年金」と呼ばれるタイプの年金となっています。これは死ぬまで年金を受け取れるというものです。
そのため、将来の「長生きリスク」に備えることができる保険なのです。基本的に仕事をしない高齢者は「老後に必要なお金はいくらかのか?老後費用」でも説明している通り収入を支出が上回ることになるため、長生きすればするほど経済的に厳しくなります。
公的年金は終身年金といって生存している限りは受け取ることができます。それゆえ長生きリスクに対して有効な年金となっています。
万が一の障害や遺族保障もある
国民年金・厚生年金には老後資金という点だけではなく、高度障害や万が一の場合などの残された遺族に対する保障という側面もあります。
公的年金制度はこのような万が一の障害を負った時、家族を残して死亡した時にも強い味方となります。特に、若いうちに障害を負うような事故にあった時の経済的負担は非常に大きいものですが、こうした年金制度がその助けとなってくれるわけです。