年金給付額の変更、物価スライドとマクロ経済スライド
年金の給付額は原則として物価の変動に合わせて動くようになっています。これはセーフティーネットである年金が急激な物価変動によって価値が毀損するのを防ぐためです。また、これとは別に2004年より「マクロ経済スライド」と呼ばれる調整制度がスタートしています。
年金受給額(給付額)は変動する
年金の受給額は2014年現在「物価スライド」と「マクロ経済スライド」と呼ばれる二つのスライド制度によって変更されることになっています。
2004年までは「物価スライド」といって賃金や物価などの伸び(消費者物価指数)を元にして年金額を変更してきました。たとえば、物価が2%上昇したら、それに応じて年金受給額も2%上昇すると言った具合です。
しかしながら、年金加入者(被保険者)の減少や平均余命の増加など、公的年金制度における財政制度は危機的な状況になっています。この対策として安定的な年金制度を維持するための受給額(給付額)調整が「マクロ経済スライド」と呼ばれます。
マクロ経済スライドは「公的年金の被保険者の減少率、平均余命の伸び」を調整するために年金給付額を減らすというもので、2023年までは年0.9%の調整が行われるようになっています。
つまり、物価が上昇した場合であっても、物価スライドによってその物価上昇分は全部年金受給額に反映されるのではなく、マクロ経済スライド分(0.9%)は伸びが抑制されます。
また、マクロ経済スライドは「名目年金額は減らさない」としています。
つまり、物価上昇(下落)が0.9%以下の場合には年金の伸びがゼロにとどめられます。
年金の特例水準とは何か?
公的年金の年金額は「物価スライド」によって物価に合わせて変更するのが基本です。物価上昇(インフレ)なら給付額は増加、逆に物価下落(デフレ)なら給付額は減少させなければなりません。
日本では長期的な経済の「デフレ」に苦しんできましたが、実際には年金の物価スライドは行われませんでした。それによって2014年4月現在、年金の給付額は物価スライドを行っていた場合と比べて1.5%高い「特例水準」となっています。
この特例水準は、平成26年4月以降に1.0%の解消(引き下げ)を行い、平成27年4月に残りの0.5%の引き下げを行うことになっています。