国民年金基金

国民年金基金は第1号被保険者が、年金を上乗せするために任意で加入できる年金制度。国民年金(基礎年金)に上乗せできる2階建て部分に相当する年金制度です。なお、付加年金との同時加入はできません。
国民年金基金の特徴
国民年金基金はサラリーマンの「厚生年金」などと比較して、年金が充実していない個人事業主(第1号被保険者)のために用意されている2階部分にあたる年金制度です。
任意に加入することができますが、一度加入すると第1号被保険者から外れるなど所定の条件を満たさない限り脱退は許されない形となっています。
また、加入資格を失った場合、これまで支払ってきた年金保険料は一時金としては返還されず、将来の年金として支払われます。
国民年金基金の保険料
保険料は口数で支払います。たくさん加入することもできますし、最小限のみとすることもできます。この口数については変更することは可能です。
1口当たりの掛け金は加入時の「年齢」「性別」によって異なります。契約時に若い人ほど1口ああたりの掛け金は安くなり、男性の方が統計的に早死にしやすいため同様に掛け金は安くなります。
この計算については「生命保険の保険料の決まり方」と同じです。長期間預けることができる若い人ほど保険料は安くなり、死亡リスクが高い人ほど保険料が高くなるわけですね。
なお、1年間に書けることができる上限額は決まっていて、年81万6千円までとなっています。ただし、「確定拠出年金」に加入している場合はそれと合計した金額が上限を超えない範囲までとなっています。
また、1年分の保険料を前納(前もって支払う)すれば、0.1カ月分の保険料が割引となります。金銭的に余裕がある方は活用してください。
国民年金基金の年金の受け取り方
複数のパターンが用意されています。基本は終身年金の形(死ぬまで年金が支払われる)ですが、保証期間を設定することもできます。
たとえば、15年保証を付けておけば、年金受給から2年後に死亡したとしても残りの13年分は遺族に対して原資に応じた一時金が支払われます。
一方で保証を付けない場合は、死亡したら終わりです。
それぞれの選び方については、遺族保障としての性質も持たせたいなら保証期間あり、遺族保障は不要で自分の老後資金のためだけというのであれば保証期間なしを選択する方が効率的です。
国民年金基金のメリット、デメリット
まず、国民年金基金のメリットとしては「税効果」と「年金額の増加」という点が挙げられます。
まず国民年金基金の保険料は全額社会保険料控除が可能です。そのため、所得を減らすことができて、税率が高い人ほど節税メリットを享受できます。
また、当然ですが国民年金基金に加入することで年金として受け取ることができる金額が大きくなります。払ったお金に対する年金額の増加に関しては「国民年金」よりも上昇幅が大きいです。
一方のデメリットは、「脱退が自由にできない」という点。また、「基金自体のリスクがある」という点が挙げられます。
脱退の件は前述していますが、基金自体のリスクとはどういう点でしょうか?
実際のところ、国民年金基金には「積み立て不足」が生じています。これは約束した年金を支払うための原資が不足している状態ということです。
国民年金基金の積み立て不足とは何か?
ちなみに、積み立て不足というのは、現在のままだと将来年金を払う時にお金が足りないというものです。
これは国民年金基金が「確定給付(確定利回り)」という点が原因です。
国民年金基金は過去は下記の様な利回りを加入者に約束していました。
1991年〜:5.5%
1995年〜:4.75%
2000年〜:4.0%
2002年〜:3.0%
2004年〜:1.75%
昔の予定利回りに驚かれるかもしれませんが、当時はこの水準は決して法外なものではありませんでした。株価下落と金利低下によって基金の実質的な利回りが低下しており、当初契約者に対しては当然「逆ざや」となっています。
この逆ざやによって将来の積立金の不足が生じているわけです。
国民年金基金に加入しても大丈夫なのか?
将来的に基金の制度が大きく変わるか、あるいは運用環境が大きく改善するようなことが無い限り持続性には問題があると私は考えています。
現在の状況が改善しない限りは個別勘定で加入できる「確定拠出年金」の方が有用な運用手段(年金加入手段)だと考えています。
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ちなみに「第1号被保険者」の場合、国民年金に加えて年金に加入する場合、この個人型確定拠出年金か国民年金基金のどちらかに加入することになります。併用も可能なのですが、上限額は共通です。それでは個人型確定拠出年金と国民年金基金のどちらに加入する方がお得なのでしょうか?
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