厚生年金基金の特徴や基本を解説

厚生年金基金とは、第2号被保険者(サラリーマン)の公的年金のうち、3階部分に該当する年金となっています。ただし、「代行部分」として「厚生年金」の保険料の一部を厚生年金基金が運用する形をとっているため、2階部分の一部も厚生年金基金となります。
年金運用を企業(厚生年金基金)が行い代行部分を予定以上の成績で運用できればその上乗せ部分は3階部分の年金として上乗せ給付ができます。
その一方で、運用益が予定を下回った場合は補填する必要があります。2012年のAIJ投資顧問による年金消失事件などもあり、年金基金の財政は悪化しており健全な厚生年金基金は1割にも満たないという推計もある。
そのため、現在では新規の厚生年金の設立は認められていません
また、2014年4月以降の5年間を特例として、財政状況の悪化した基金の解散を促す特例措置を実施しています。
厚生年金基金ってどんな年金なの?
確定給付型企業年金に次いで企業年金の中でも代表的な年金方式の一つでした。
厚生年金の保険寮の一部を「代行部分」として厚生年金基金が預かり運用するほか、企業と労働者が追加で保険料を負担する3階部分の企業年金制度です。
大企業が単独で基金を設立するケースのほか、複数の企業があつまり共同で基金を設立して運用するケースもあります。
3階部分(企業年金部分)と厚生年金の代行部分を厚生年金基金が運用し、そして年金の支払いも行うようなシステムになっています。
代行割れをする年金基金も、AIJ年金問題で決定打
運用が好調だったバブル期に厚生年金基金が乱立していましたが、バブル崩壊後の運用環境の悪化により、国に代わって支払う厚生年金部分の資金さえ不足するような代行割れが発生していました。
状況が悪化しても厚生年金基金を解散するためには代行部分を国に全額返済する「代行返上」の必要があり、それができない基金は解散もできない状況でした。
そこでおこったのがAIJ投資顧問による巨額の年金消失です。
これによって厚生労働省は、財政が健全な一部の厚生年金基金を除き、全廃の方針を固めました。代行返上に関する軽減や分割なども認め、2014年10月現在で多くの基金が解散を決めています。
厚生年金基金が解散すると年金はどうなる?
厚生年金基金が解散された場合、代行部分については国(厚生年金)に引き継がれることになります。それによるデメリット(老齢年金の減額)などはありません。
また、基金の残余財産は、すでに年金を受け取っている受給者と、今現在保険料を支払っている労働者に対して分配されることになります。残余財産がどれくらいあるのかについては各厚生年金基金によって大きく差があります。
場合によってはほぼゼロに近い回答となる基金もあるようです。
年金受給者(老齢年金、遺族年金、障害年金など)については以降の年金は受給できなくなります。
近年では、このように企業側が解散のリスクを負わずに、労働者も会社がどうなろうが、それまでの年金は保証される「確定拠出年金(401k、DC)」が企業年金の主力となりそうです。